愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 三島由紀夫的な視線と水上勉的な視線

日本人は今も、常に上や表や中心を目指す三島由紀夫的な視線と、豊かさを享受しながらも常に物事を下や裏や端っこから見るという水上勉的な視線を、両方持っているらしい。二つの視線の間で、股裂き状態になっていると言ってもいいかもしれない。私達は、海外旅行に行ってラグジュアリーなホテルに宿泊しても、心の中で「とはいえ私なんか元は日本の田舎者だし!」という気持ちをどこかに持っているし、国際会議で立派な日本人が立派な意見を言っているのを見て誇りに感じながらも「でもどうせガイジンたちは、心の中で日本人を馬鹿にしているのだろうな!」とつい、思ってしまう。世界に貢献している先進国である日本と、貧しくダサくて変な日本。両方が日本人の中で混じり合い、愛と憎とが絡み合う、複雑な愛国心を形成しているのではないか、とある作家が言っている。ふう、中らずと雖も遠からず。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。先ほど村上春樹アイスランド紀行を読んでいて、途中、報道ステーションを見たらちょうどアイスランド地震噴火のニュースをやっていた。こんな偶然ってあるんだね。おやすみなさい、また明日。