愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

「ムーンライト・セレナーデ」 人間の根本的な弱さは

子供の頃から目指していた偏差値の高い大学に、ようやく合格したのに、それで燃え尽きたり、お金持ちになったのに、かえって家庭が不和になったり、好きな人をライバルから奪ったのに、けっきょくうまくいかなかったり。自分をもてあまして無気力になってしまったり。人は負けることも苦手だが、勝つことも意外に苦手なものだ。勝つか負けるかだけで人生が語られがちですが、勝ったにしても負けたにしても、手にしているものをどう生かすかのほうが、より大切なのかもしれません。カフカは、人間の根本的な弱さは、勝利を手にできないことではなく、せっかく手にした勝利を、活用しきれないことであると言っている。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。しかし、生かすも何も、勝利の美酒に酔い痴れたことのない私は、ただ惰性で生きてきただけの余禄の人生だった。おやすみなさい、また明日。