最高の恋愛は不倫だという説がある。
「救急医療のようなもの」「結婚生活のガス抜き」と言った人もいたが、不倫にガス抜きの側面があることは否定できないであろう。
不倫は日常生活の責任も重荷もなく、生活費の工面や、子供の教育、嫁姑問題もなく、一瞬にせよ別の自分になれるという開放感がある。
あまり言いたくないことだが、私は若くして結婚し若くして離婚した。
その間、たった1年だが、既に半年前には別居していた。
密かに不倫していたのだが、相手には知られないまま他の理由で離婚した。
その後の人生は乱れたものだった。
どういう訳か人妻と付き合うことが多く、決して自慢できる人生ではないが、洗濯機で
洗われるが如き、揉まれ、濯がれ、脱水され多くを学んだ結果、自分には結婚は合わないことを悟った。
昔から有名人の不倫が報じられると、世間はこれ見よがしに袋叩きにする風潮がある。
一見、正義を振りかざしているように見える人を、ニーチェは「ルサンチマンの人間」と言っている。
羨望の対象である有名人が手にしている成功や幸福、富や名声を、自分は手に入れられなかった過酷な運命に対して、上手くいかなかった自分の人生に復讐したいのだと。
ニーチェの言葉を借りれば「裁判官を装った復讐の鬼」らしい。
不倫の良し悪しはともかく、古の昔から不倫は人間の業のようなものとして存在したのは否定しがたい事実で、これからも不倫が消えてなくなることは決してないであろう。