愛に恋

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フランス革命下の一市民の日記 セレスタン ギタール

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私は歴史上の人物の日記を読むのが好きだ。

然し、面白いかと訊かれれば、ちっとも面白くないと答える。

では何故読むのかといえば、やはりその時代を生きた本人の生の声という意味では、一級資料だと思うので、何が書かれているか非常に興味があるからだ。

本書は硬派の文庫で知られる中公文庫だけあって文字が小さい。

更に800頁を超える長編なので時間と労力もかなり使う。

激動のフランス革命下で起きたことなどつぶさに書かれているが、感心するのは毎日、気温、天候は元より、税金、年金、兄妹、友人からの書簡、物価の高騰、薪、食料不足なども事細かに書かれている。

佳境に入るとルイ16世の逮捕監禁、裁判、そして処刑。

マリー・アントワネットの処刑など天候を交えながら淡々と記載される。

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ジャック=ルイ・ダヴィッドの断頭台に向うマリー・アントワネットマリー・アントワネット最後の肖像)

物情騒然たるパリは恐怖政治の真っただ中。

各地で起こる暴動、略奪、虐殺。

中盤に入ると、毎日何十人ものひとが断頭台の露と消えていく。

それをご丁寧に、一人ひとり、職業、年齢、罪名など記載し何十ページにも続くので、些かうんざり。

王族、貴族、元帥、裁判官、教師、市長と、ありとあらゆる階級にの人が首を刎ねられる。

かつては権力の中枢にいた人も例外ではない。

例えばダントン、ロスピエールなど最たる例だ。

著者は80代を超え、毎日病と闘いながらの年金暮らし。

日々の家系をやりくりしながら書いた日記が、よもや私みたいなぼんくら書生に読まれるとは思ってもみなかったろうに。

本書の前に、ナポレオン軍に参加した兵士の日記を読んだが、時代的には逆だった。

然し、もっと本格的にフランス革命を勉強したい。