愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

岡田嘉子終りなき冬の旅 工藤正治

                                                        f:id:pione1:20190712105119j:plain

岡田嘉子の映画は帰国後に撮った男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』以外、戦前のものも含め1作も見たことがない。

                                                       f:id:pione1:20190712100821j:plain

舞台女優としてデビューした彼女は相当な美人だったとあるが、その当時の写真を調べてみた。
母型の祖母がオランダ人の血を引くことからエキゾチックな美貌を受け継いだらしい。
 

                                                     f:id:pione1:20190712101218j:plain


関連文献としては升本喜年の『女優岡田嘉子』というのを読んだことがあるが、どうも、共に亡命した杉本良吉の最後が違っている。
言うまでもないが、樺太からソ連に越境した駆落ち事件の相手で、本書では簡単に杉本は病死と扱われているが、少しどころかかなり調査不足ではないのか。
或いは出版当時はそれらのことはまだ知られていなかったのか。
 
二人は軍国主義の日本を嫌い、モスクワで演劇勉強のためソ連領に亡命したが、然し、スパイ目的と疑われ杉本は苛酷な取り調べと拷問の末、処刑されたはず。
仔細は『女優岡田嘉子』の編で書いたので省くが、本書では、その件について深く追求するのが目的ではなく、美貌を買われ、松井須磨子と入れ替わるように登場し、舞台女優、無声映画、トーキーと人気を独占しトップ女優として戦前の映画界では、その名を知らぬ者がいないほどの売れっ子だったあらましが書かれているが、一方、スキャンダル女優としても有名で異性関係も含め、珍しいほど波乱に満ちた女性であることは間違いない。
 
だが少々、見せ場の亡命事件が些末であるためか、私生活に於ける国内での話が長すぎ、やや退屈の誹りを免れない。
 
ポチッ!していただければ嬉しいです ☟