愛に恋

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小津安二郎 陣中日誌

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左側が小津
 
小津日記の中に支那事変の件(くだり)、昭和14年1月13日の見ると。
 
今日から城外に慰安所が出来る。
金曜日がZで開店早々うちの部隊が当たる。
慰安券が二枚、星秘膏ゴムなど若干配給になる。
慰安券に曰く
 
慰安所に於ける酒食を禁ず
・泥酔者の慰安所出入を禁ず
軍紀を厳守し之を漏洩せざる様万全の注意を要す
・時間を厳守
・衛生に注意
・自隊日割以外の出入を禁ず
・性病者及び切符を所持せざる者の慰安所出入を禁ず
 
兵隊は13時から16時まで半時間一円
下士17時から19時まで30分一円五十銭、1時間二円。
兵は1時間一円五十銭。
 
高橋伍長試みに出かける
 
実に詳細な記述であるが、小津は興味を示さなかったようだ。
然し、ここまで詳しい説明書きも初めて読んだ。
 
少し説明を加えると、初めの方に出てくる「Z」とはなんのことか判らない。
「星秘膏ゴム」とはおそらくコンドームのことだろう。
隊ごとに日にちが割り当てられ、兵隊は13時から16時、17時から19時と料金が違っている。
夕方からの方が少し割増料金。
 
下士というのは下士官のことだが、将校の但し書きがないがどうなっていたのか。
女性たちがどういう素性の者か、何も書いていないが戦線の移動と共に彼女達も行軍を共にしたらしい。
然し、小津という人はどうも性に関して淡泊なのか、女郎買いや色恋に関してあまり話を聞かない。
そのためか、原節子に対しての押しもないまま、二人は生涯独身のままの人生を過ごしてしまったが。