愛に恋

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高倉健と任侠映画 山平重樹

 
基本的に時代劇が好きな私は子供の頃から東映大映の映画をかなり観てきたが、中でもお気に入りは雷蔵扮する『眠狂四朗』と藤純子の『緋牡丹博徒
他にも東映の市川歌右衛門片岡千恵蔵月形龍之介大川橋蔵中村錦之助東千代之介、大友柳太郎、近衛十四郎など本当に好きだったが、その東映の時代劇が下火になって任侠路線に転向していくのが昭和38年のことらしい。
本書は一応『高倉健と任侠映画』と銘打ってあるが実際は東映の大プロデューサー俊藤浩滋の一代記と言ってもよい。
 
俊藤浩滋とは寺島しのぶの祖父、つまり藤純子の父になる。
『日本任客伝』『昭和残侠伝』『緋牡丹博徒』の生みの親で鶴田浩二高倉健若山富三郎藤純子の育ての親でもある。
プロデュース作品は289本、まさに任侠映画のドンとも言われた人だった。
 
登場人物は実に多く監督、脚本家など知らない人が盛り沢山、一期一会たる映画がどのように制作されていくのか読んでいるのは実に面白い。
大スター同士の共演で気を遣う監督など映画ファンなら知りたいことが満載。
 
取り分け『日本の首領 完結編』で片岡千恵蔵佐分利信三船敏郎の共演は誰がトップ俳優なのか悩むシーンは興味を引く。
当時、社会現象にもなった藤純子の結婚引退には藤純子を結婚させない会」など発足したらしいが、それほど絶大な人気を誇った彼女は緋牡丹のお竜を演じていた頃、まだ23歳だったというから如何に大人びていたか驚く。
 
ドスを片手に、あの鋭い眼差しや立居振舞の美しさ、もう、匂うような色気でした。
尾上菊五郎、何する者ぞ、というところでしょうか(笑
しかしながら現在では多くの人が鬼籍に入られ残念でなりません。
そういう意味では亡くなられた方への追悼本のような役割も果たしている。
そして、学生運動の終焉と共に任侠路線は実録路線へと転向、菅原文太松方弘樹の時代へと移り変わって行く。
 

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