愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

伝記小説(読書録)

東京新大橋雨中図 杉本章子

本書は、第100回直木賞受賞作(1989年)で、しばしば最後の浮世絵師などと言われる小林清親を扱った時代小説だが、これがまあ、本当によく出来た作品で驚いた。 時代考証や言葉使いなど、まるで江戸、明治に生きた人が書いたのではないかというぐらい、もう…

贋・久坂葉子伝 富士正晴

タイトルで「贋」で断っているので、フィクションとノンフィクションの境目が分からないが、筆者本人も久坂の友人ということで登場している。結末から言うと、久坂葉子は昭和27年の大晦日に阪急六甲駅から飛び降りたのか、線路に寝たのか分からないが21歳と…

落日燃ゆ 城山三郎

昔、滝沢修さん主演のスペシャル番組『落日燃ゆ』を見たのが弘田弘毅を知るきっかけだった。 番組放映はいつだったか、調べてみると昭和51年とある。 A級戦犯7人のうち、ただ一人文官として処刑された弘田弘毅。二・二六事件後に首班指名された総理大臣で、…

白蓮れんれん 林真理子

何年か前に永畑道子の『恋の華・白蓮事件』という本を読んで以来の柳原白蓮となる。 確か先述した本では、いきなり公開離縁状を新聞に投稿した場面から始まるようだったが、今回は白蓮こと本名宮崎燁子が炭鉱王伊藤伝右衛門に嫁ぐとこから始まっている。 白…

血脈 (中) 佐藤愛子

大河ドラマの中盤、佐藤家の行く末はと読み進めたが、休まる閑もなく紅緑とシナの苦悩は続く。 前編では四男の久が情死したところで終わったが、大東亜戦が始まり三男の弥(わたる)が徴兵で兵隊に取られフィリピンで戦死。 二男の節(たかし)が広島の旅館…

血脈 (上) 佐藤愛子

今日、佐藤紅緑(こうろく)とい名前を耳にすることはあまりない。 大衆小説作家として文壇から軽視されてきたのがその遠因かと思うが、本名は洽六と書く。 『あゝ玉杯に花うけて』の著者として名を留めているが、昭和初期、少年小説の第一人者として、圧倒…