愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 幸田露伴の『五重塔』

紅蓮白蓮の香(におい)ゆかしく衣袂(たもと)に裾に薫り来て、浮葉に露の玉動(ゆら)ぎ立葉に風の軽風(そよふ)ける面白の夏の眺望(ながめ)は、赤蜻蛉菱藻を嬲り初霜向ふが岡の樹梢(こずえ)を染めてより全然(さらり)となくなったれど、たいしゃになりて荷(はす)の茎ばかり情なう立てる間に、世を忍ぶ気の白鷺が徐々(そろり)と歩む姿もをかしく、紺青色に暮れて行く天(そら)に漸く輝(ひか)り出す星を脊中に擦って飛ぶ雁の、鳴き渡る音(ね)も趣味(おもむき)ある不忍の池の景色を下物(さかな)にして、客に酒をば亀の子ほど飲まする蓬莱谷の裏二階に気持ちの好ささうな顔をして欣然と人を待つ男一人。「これが難しい幸田露伴の『五重塔』の語り口なんですね。内容はそれなりに面白いのですが、中編なれども読むに苦労します。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。日本の名目GDP世界4位に転落へ。55年ぶりにドイツに抜かれる ドイツ人に聞くと「インフレ手当に加えて毎年賃上げもあります」だってさ。おやすみなさい、また明日。