然し、実は先にアンリ・バタイユが脚色したものを再脚色したものらしい。
そのアンリ・バタイユの詩に『記憶』という作品があるが、未だ未読なれど内容はこのようなものだとか。
記憶はわれらの脳中に無数の部屋をつくって、その中で眠っている。
青い部屋、ももいろの部屋、そして人間は、記憶がいつもそこで自分の来訪を待っているのを知りながら、つい忙しいので、そとから小窓だけ見て通り過ぎる。
ところが老人になると、ひまが出来るので、ときどきその記憶部屋をノックするようになる。
だが、老人のものぐさで、つい、いつも同じ部屋か、近所の部屋をノックしてしまうものらしい。
うん・・・!
つまり、いつも同じ時代のことばかりを思い出している。
過去、数十年の人生、ある一定の期間だけを繰り返し考えるということは、それだけ充実していた頃ということになるのか。
逆に言うと、そういう思い出し方をするようになったら老いの坂道まっしぐらか!