幕末の動乱は旧来のやりかたを踏襲すれば済んだのに、なまじっか天皇・朝廷側の同意を得たうえで日米修好通商条約に調印しようとしたあまり、日本国の土台が大いに揺らぐことになる。いずれにせよ、それまでは、なんだかんだといっても、良好であった幕府と朝廷の関係が、天皇が幕府の求めた通商条約を承認しなかったことで一気に分裂気味を呈するに至る。そして、この間隙をつくように、外部勢力の介入が始まる。そして、これに、病弱であった家定将軍の後継者に一橋慶喜と紀州藩主の徳川慶福にするかをめぐる対立抗争が絡む、そのため、時代は一気に混迷の度合いを強め、このあと紆余曲折のすえ幕府が滅亡への途をたどることになった。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。通商条約の承認が当然認可されるだろうと思って朝廷側と接触したのが、筆頭老中の堀田正睦備中守だった。失意のうちに江戸に帰ると待ち受けていたのは、新たに就任した、大老井伊掃部頭直弼で備中守は登城停止処分となり失脚した。人生は本当にままならない。おやすみなさい、また明日。
