浅田次郎という人はとにかく博学だ。
まるで江戸時代の人が書いているようで、時代考証、武家言葉など小説の名手といっていい。この人は現代劇、時代劇と両刀使いで、とにかくよく調べている。
架空の藩である三万石の御領国・丹生山を継いだ四男の小四郎は妾腹の子。
何も知らず借金の額が二十五万両、利息は年に一割二分で三万両。
しかし対する歳入はたったの一万両。先代の父は密かに倒産を企てている。
糞がつくほどの真面目さ誠実さを武器に、なんとか倒産を防ごうと必死の「経営再建」に乗り出す。
確かにユーモアあり笑いありで面白い。
よく考えた設定だと思う。