愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 なぜ、ルネサンス初期の肖像画はみな横を向いているのか?

なぜ、ルネサンス初期の肖像画はみな横を向いているのか?古代ローマでは正面向きや斜め向きの肖像画が数多く描かれていた。しかし、そのほとんどが中世の混乱のなかで破壊されたり失われてしまい、ルネサンス時代には手本となるような肖像画がまったく残されていなかった。そうしたなか画家が唯一、手本にできたのは、富裕層が収集していた古代ローマのコインだった。コインには、ローマ皇帝などの顔が横向きに浮き彫のように描かれていた。ただし「コインの顔は横向きにすべし」という決まりがあったわけではなく、厚みのないコインに正面向きの顔を刻むのは技術的に難しかたというのが横向きの理由らしい。しかし初期ルネサンスの画家たちは、正面向きであれ斜め向きであれ、人間の肖像を巧みに描く技量を持っていたが、古代ローマのコインを見て、肖像というものは真横から見た姿を描くものだと思い込んでしまったらしい。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。誰もが自分の写真を持っているが横向きの写真というものはあまり撮らない。鏡では横を向いては見れないので、果たして人は自分のどんな横顔を見ているのだろうか。おやすみなさい、また明日。