愛に恋

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人間失格 太宰 治

太宰の文学的評価というのは未だに確定していないらしい。一般的の日本文学といえば、谷崎潤一郎志賀直哉川端康成三島由紀夫などの名前が挙がり、太宰というと私小説作家の代名詞みたいな感覚なんだろうか。私はといえば、これまで作品よりは太宰と近しかった友人、妻、愛人などが書き残した文献などを中心に読んできた節がある。いったいに太宰とは何者なのか。全否定か全肯定しか許されないという評価もあるが、全否定の象徴となったのが三島由紀夫だろう。「私はアナタが嫌いなんです」と本人を目の前に堂々と言ってのけた。蛇足的な話だが、私は16歳のころから女性問題で周辺に迷惑をかけまくった。銃刀法違反で警察に捕まり、翌年には他の女性と東京まで駆け落ちして池袋で御用、留置場行き、そのまた翌年にも違う女性と同棲がバレ、これまた東京に追放になってしまった。東京でルンペン生活などを送っていたが、太宰のように酒や薬物に溺れることは断じてなく、ましてや借金で首が回らないなどは尤も嫌うところだったし、心中などもっての外。誰だったか、「自分の貧乏暮しを書いて日銭を稼いでいる」なんて言っていた人がいたが、まあ、そこまでは言わないが、妻、愛人、続愛人みたいな女を作って、あっちにもこっちにも子供を作るなんざ、到底私の出来る所業ではないし忌み嫌うことなのだ。作家としての才能があったからいいものを、本来なら死ぬなら死ぬで有島武郎芥川龍之介のように、一発勝負でけりを付けてほしかった。キツイ物言いだが、それが私の見解だ。