愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

なめくじ艦隊―志ん生半生記 古今亭 志ん生

以前、『志ん生一代』という伝記本を読んだが、本書は本人が書いた自伝で、まあ、芸の肥しとはいうものの貧乏、酒、女半世紀といってもいいぐらいの前半生だろう。然し乍ら本人が語るところによると、先祖は徳川の直参で、槍の指南番で三千石というから、かなりの身分だったらしい。「旗本武鑑」にも出ているというから間違いないだろう。だが十三、十四のころから博打、酒と道楽を重ね、家を出てからというもの、とんと金に見放され家賃も払えず追い出されることの繰り返し。明治、大正の名残のあった時代の話は面白いし意外なことも多いが、私自身は志ん生の顔は知っているものの、昭和48年に亡くなっていることからして、或はテレビで何度か見たことがあったのかも知れないが、上手いも下手も記憶にない。