愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です 比翼の鳥、連理の枝

墓をどうするのか、葬儀委員長の豊島が言った。「太宰と富栄さんは、想いあって死んだんです。相思相愛の死者といえば、比翼塚ですよ。白居易が『長恨歌』に、『天に在っては、願わくは、比翼の鳥とならん』と、うたったではありませんか。比翼の鳥、連理の枝ですよ。二人のために、比翼塚をたててやりましょうよ」「美容師風情を、太宰先生と一緒に弔うなんて」鋭いささやき声があった。常識人の井伏が、豊島の感情的な提案をあおだやかにたしなめ、豊島は折れたが、それでも言った。「富栄さんは立派な女でした。太宰君が一人で死ぬるのではなく、富栄さんがつきそってくれてよかった、私はそう思っています」うふ・・・、やっぱり二人一緒にしてやるのがせめてもの手向けだったと思うが、両者の遺族は二人をそれを許さなかった。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。蕁麻疹が全身に回って首あたりが痒い。今日、寝れるかな。