昔『麻雀放浪記』という映画があったが見ただろうか。
原作は阿佐田哲也だが、このペンネームは徹夜麻雀なんかして朝を迎えてしまったことに由来する「朝だ徹也したな」みたいなことらしいが、とにかくギャンブル好きで金があれば直ぐ博打とくる。
本人は小学校も碌に出てないと言うが、それで直木賞を受賞するのだから不思議だ。
本書は色川武大名義で書かれているが、二人は同一人物で色川武大名義では主に純文学を、阿佐田哲也名義では『麻雀放浪記』をはじめとするギャンブル小説を書いた。
大変興味深い作家で小卒なんていっているがなかなかの知識人で、ギャンブルをしながら読書をしていたのか雑学的なのが多く、本書も連作短編集で知らないことも多々でてくるし勉強になる。
父親は40代の若さで退役した海軍大佐で、武大は、父が44歳のときに初めて生まれた長男であったらしい。
父は何も仕事をせず、常に自宅におり、家族は軍人恩給で生活していたとあるが、学歴もないのに作家になる素質とはどういうものか、この人の書いたものを読むたびに不思議に思う。