愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

宝島 真藤順丈

最近の直木賞というのは斯くも長いものなのか。

まるで弁当箱ではないか。

沖縄の復帰が佐藤内閣時代のことだとは知っていたが、果たしてその時点で、沖縄がアメリカの占領下にあったことを知っていたかどうか覚束ない。

更に敗戦から復帰までの沖縄の歴史も何も知らない。

昔、一度だけ沖縄出身の女性と付き合ったことがあったが、どこだったか、屋外で何か食べている時、近くにヤクザが数人がやって来て何か話し始めた。

苛立つ彼女は、暫くすると憤然と席を立ち去ってしまった。

まあ、なんとも気の強いことだが、そんな女性も出てくるこの小説。

返還前の沖縄は、それこそ売春、ヤクザ、犯罪が横行する島だったのだろうか。

冒険小説とも、探偵小説とも、ミステリーとも取れる内容だが、果たしてここまで長く引っ張ることもあるまいと思うのだがどうだろう。

アメリカ軍から物資を盗んでくる者たちを「戦果アギヤー」と呼び、奪ってきた”戦果”を貧しい家々に配っている男。

それがオンちゃんで、地元のコザでは、みんなから愛され、尊敬と憧れの存在であった、その英雄オンちゃんを探す、超弩級の才能が放つ、青春と革命の一大叙事詩!!

とまあ、そこまで大袈裟の作品とは思わなかったが。