積読本が300冊もあると、どうしても自分で買ったのにも関わらず全部を把握し切れていない。
拠って書棚に深沢七郎の本が4冊も溜まっていたとは知らなんだ。
そこで、取り敢えず手にと取ったのが本書だが、然し、この人の名は昔から知ってはいたものの読むのは初めて。
話は比較的スピーディーに展開していくが、これが結構面白い。
信玄が親を追放したことは有名だが、その辺りから武田家三代に渡る期間に農民一家六代の物語で、武田家に忠誠を誓いつつも滅び生まれる家族の悲哀を、説話と土俗的な語りで甲州、笛吹川を中心に営まれる感動作だろう。