愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

原首相遭難現場

大正10年、原首相が東京駅構内で暗殺されたことは、いつの頃からか知ってはいたが、その現場に目印が付けられていることを、これまた何で知るようになったか覚えてない。
20数年前ぐらいだろうか、児島 襄さんの『平和の失速』という本で事の詳細を知ったが、政友会総裁だった原首相を中心に大正期の政界を描いた5000頁にも上る壮大なもので、クライマックス、原総理暗殺の場面は殊の外印象深く、犯人はまだ18歳の中岡艮一という若者だった。
 
東京生まれの私だが、諸般の事情で幼い頃、東京を離れ名古屋、大阪と転居を繰り返したが、その後、仕事の関係や個人的なことで何度も東京に行っているのに、ついぞ、現場となったこの場所を訪れる機会を逸したまま今日に至った。
しかし今回は必ずやその現場を確認したいと前もって決めていた上京。
 
現場を確認した私の感想はかなり意外なもの。
刺殺された地点は構内を入って僅か数秒の場所。
もっと奥まった所だとばかり思っていたのだが。
あれでは車を降りて10数歩で凶行に遭ったということか。
急を聞きつけて駆け付けた山縣有朋は警備の責任者をどやしつけたと本にはあったが、正に、あっという間の出来事だっただろうに。
確か、周りに居た人たちは誰かが首相にぶつかったのかと思ったと証言している。
しかし、原は即死。
 
日本中に衝撃を与えた大事件も今や昔。
雑踏の中、知ってか知らずか多くの人が行きかう丸の内南出口であった。