父・萩原朔太郎 萩原葉子

 
室生犀星が言うように萩原朔太郎は不世出の天才詩人だろう。
私個人も詩人の中では断トツに朔太郎ファンだが、しかし、娘葉子の目を通して見ると、いや家族の目には実に異彩というか変人のように映っていたのかも知れない。
何しろ癖の多い人だった。
 
出かける時には三和土にある履物なら女物でも平気でつっかけて出て行ってしまう。
冬でも厚着をせず足袋を履いているかどうかも気にしない。
食事中は食べ散らかしても平気の平太。
道で娘とすれ違っても気付かず、ヘビースモーカーで煙の中で座っているような生活を送り、家業の医者を嫌い親の反対を押し切って文学とマンドリンに明け暮れ、母親には生涯頭が上がらず臆病者であがり症。
 
毎晩のように飲み歩き終電でしか帰らず、タバコ焼けや汚れでボロボロなった着物でも何ら気にしない。
バスター・キートンそっくり操り人形のように歩き何度も不審者扱いで尋問される。
 
不健康な生活を送っていた割には病院嫌い。
小食で痩せぎす、痔ろうの悪化で体力もなく急性肺炎であっけなく世を去った。
いったい自分の体を何と思っていたのか叱ってやりたいぐらいだ。
葉子さんの目を通して活き活きと語られる癖の多い朔太郎には何度も笑わされたが本人は大真面目で生きたのだろう。
 
孤独を書くために生まれてきたような人だが、その天才ぶりは結局、親には理解されなかったようだ。
朔太郎の生きた時代、文壇には名だたる天才が揃っていたが、それらの人たちとの交流を是非見たかったものだ。
 

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