愛に恋

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狂人日記 色川 武大

重度の統合失調症患者の日々の出来事を、冷静な健常者が観察して書いているような話だったが、はたしてどの程度理解出来たのかは疑わしい。著者は60歳で亡くなり、本書は50歳の時に書かれたものらしいが、その当時の色川武大はどういう精神状態だったのだろうか。私には狂人の心境など書けないので、実体験なしで、あくまでもフィクションとして思いついたことなのか、判然としない。というか、どんどんあり得ない空想の世界に話が及んでいくと理解不能になり、私には意外と難解な本だった。坂口安吾が言うように「あちらこちら命がけ」に通じるものがあるのだろうか。