愛に恋

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上海ベイビー 衛 慧

魔都といわれた1930年代の上海、そんな上海を特務機関員として青春をおくった父をどうしても思ってしまう。戦後、死亡するまでモルヒネ中毒だったのかもしれないが、それもこれも戦争のためだった。そんな魔都、上海といわれた都市を舞台に自堕落な生活をおくるココは25歳の大卒。ウエートレスのかたわら小説を書いている。同棲中の恋人とのセックスはうまくいかず、自分の生き方を自問自答しつつ上海の夜を彷徨う。あるパーティで出会った妻子あるドイツ人と結ばれ、激しく満たされるが―大胆な性描写で発禁処分になったというが、私としては本来、性描写なるものはあまり好きではない。しかし、露骨にただ長ったらしい描写でないところが救われた。だが、朝起きて歯も磨かず雑菌が多い口で長時間キスをしていたなんて考えられないし、1日中キスをしていたともあるが現実的ではない。恋人の唇は水中の小魚のように優しく可愛く戯れる。そんな感覚を味わったこともないな。膣内壁に貼りついた血管は充血して腫れ脈動して、気の遠くなるような昔から、その神秘の庭は、そうやって異性の侵入を待っている。よくよく考えた文章なんだろう。いずれにしても再読はないな。