愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 先導役の本多警部

昭和九年十一月十六日、群馬県高崎市で陸軍の大演習があり、昭和天皇が閲兵式に臨席した。天皇一行はその後、群馬県桐生市を視察する予定となっていた。そのとき天皇一行の先導役を務めたのが、群馬県警の本多重平警部だった。ところが先導役の本多警部は、本来左折すべき道を直進する過ちを犯したため、天皇が最初に訪問するはずだった小学校では陛下が行方不明になったと大騒ぎとなった。その二日後、本多警部は昭和天皇一行を乗せたお召し列車前橋駅を出発して汽笛を鳴らすと同時に、自宅に正座して日本刀で喉を突いて自決を図った。結局一命はとりとめたが、昭和とはそういう時代だったのだ。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。そういえば父は戦争の話はよくしたが、陛下については何も語らなかったな。何故だろうか。おやすみなさい、また明日。