愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 「スタイルがすべて」

身体の交わりとしてのセックスは、私にとっては、あまり大問題ではない。女友達と一緒だと、男性のサイズやポテンツがよく話題になる。聞きながら、どうなんだろう、と思うのがいつものことだった。具体的な行為とは別の、深いエクスタシーがある。行動は世間が尻軽女とか浮気性と呼ばれるタイプと似ているかもしれないけれど、ぜんぜん違う。男にとって都合の悪い女は、ヘンな烙印を捺されるものだ。わたしはいつだって本気である。美と感覚のみを倫理とし、「スタイルがすべて」と嘯きながら生きていく女。中世ならば火あぶりにされる魔女かもしれない。家を壊すから、女の敵である。しかし、罪悪感なんか、かけらもない。悪意もないが、結果として世間の規範からどんどん外れていく。自分はつくづくアーティストなんだな、と思うけど、それでいい。画家の山本容子は云ふ。二度しかテレビで見たことがないが、なかなか魅力的な女だ。女性作家としては、自らの性体験を踏まえて創作活動する人もいれば、まったく、その手の過去に触れない人もいる。物書きとしては前者の方が好きだ。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。斯く云ふ私はというと、若し作家なら先ず過去の性体験など書けないし、俳優なら濡れ場のシーンは一切断る。おやすみなさい、また明日。