愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 『侏儒の言葉』

芥川龍之介箴言集『侏儒の言葉』というタイトルには、言い訳が含まれている。侏儒とはコビトのことで、知識の足りない人という意味もある。箴言とは教訓や戒めを含む言葉で、つまり、タイトルの中に、「無知を十分わきまえている自分ですが、偉そうに、こんな教訓めいたことを言ってしまいます。どうぞ気を悪くなさらないでください。これはバカの言葉です」という自虐的なエクスキューズを潜ませている。漱石はある手紙の中でこう言っている。「人が悪口を叩かぬ先に自分で悪口を叩いて置く方が洒落ているじゃありませんか」漱石という筆名は、つむじ曲がり、頑固者という意味で、人からの攻撃に先んじて、自分で自分の悪口を言っているわけだ。同様に芥川も、自分の箴言集を洒落たものにするために、わざと蔑んでいる。へりくだっているともいうのかな。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。私は女性を口説くのは下手だが、仲良くなるのは得意中の得意。カフェやスーパーの店員、または看護婦など早ければ初回で、遅くとも二回会えばもう友達のように話している。今日も今日とて、「若し癌が転移していたら結婚して」と、まだ20代の看護婦に言ったら「私でいいのですか?」だってさ(笑)。おやすみなさい、また明日。