愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 恋の丸ビル、あの窓あたり

東京大学名誉教授の養老孟司氏の御母堂は明治33年、19世紀最後の年の生まれだとか。それがある日、出し抜けに「私の時代はね、恋の丸ビル、あの窓あたり、泣いて文かく人もある、なんて唄があったのよ」自分の過去について、私にあまり語ったことがない親だったから、ビックリしたと同時に、この歌詞自体を覚えてしまった。いま思えばこれは西條八十の歌詞だった。母はときに「番場、醒ヶ井、柏原、不破の関屋は荒れ果てて」と、つまり太平記の道行や、落合直文「孝女白菊の歌」「阿蘇の山里秋ふけて、ながめ寂しき夕まぐれいずこの寺の鐘ならん」などを、突然に口ずさむことがあった。古い教育では、国語が朗読と暗記を中心にしていたからであろう。熊本に行って「孝女白菊」の話を知っているかと聞いたら居合わせた人は誰も知らなかったと言っている。まして今現在、こんな歌詞を口ずさむ人は誰もいまい。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。今日、帰宅してテレビを点けると、どこもかしこもジャニーズの記者会見。あまり興味がないので消してしまった。そもそも前社長が死んでしまっているのだから尚更だが、驚いたのは新社長の東山は57歳になるんだね。いつの間にか「中年隊」になっていたんだ。おやすみなさい、また明日。