愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 赤軍粛清

1941年、赤軍ソ連が自ら作り出した混乱の極みで喘いでいた。30年代後半の赤軍粛清は、赤軍近代化の立役者にして輝かしい戦功を持つ軍事的天才ミハイル・トゥハチェフスキー、卓越した戦術理論の研究者アレクサンドル・スヴェーチンをはじめとする珠玉のような上級将校を、まるで薪を火にくべるように消し去った。有能な上級指揮官が次から次へと処刑され、あるいは強制収容され、そうでなくても不可解な追放や左遷が相次いだ。将校を失うことは、その頭脳が蓄積し発展した戦術理論と、装備運用のためのノウハウを失うことであり、軍隊にとっての組織的脳死をもたらす。火を見るよりも明らかな論理であったが、猜疑に駆られたスターリンは、それが義務であるかのように、ひたすら将校たちを抹殺した。そんな中、現れたジューコフ将軍さえいなければ赤軍は負けていたかもしれないのに。その結果、45年に日ソ不可侵条約を破ってソ連軍が満州に攻め込むことも出来なかったろうに。親の恨み骨髄に達す。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。また明日、おやすみなさい。