本書は出版後1年半を経過(2020年2月の第3週現在)何と73週ランクインの驚異的な伸びを見せているとか。
2019年、アメリカで一番売れたミステリーで700万部を突破。
作者は実に70歳でデビューしたディーリア・オーエンズという御仁。
ミステリーというより、殆ど小説に近い形のようにも思えるが、併しまあ、噂に違わず本当にいい本だった。
久しぶりに読み終わるのが惜しい一冊で、主人公の幼いカイアは、母、兄姉、父と次々に家を出て行く中で、健気にも湿地帯で差別と偏見をうけながら逞しく独りで生きていく姿に、感情移入せずにはおれない。
殺害されたチェイス・アンドルーズの真犯人は誰なのかという謎ときは脇に追いやられ、物語はカイアの成長を丹念に追っていく。
併し、後半の法廷劇など展開も素晴らしく、最後の最後まで飽きさせないストーリーはまさに名作になるに相応しいミステリーで、私にとっては後世、忘れられない作品になった。