許可された荷物は両手に持てるだけという規則から、多くの財産が二束三文で売却される中、一部の家族がパナマホテルの地下に荷物を預けていったらしい。
1942年当時、共に12歳だった日系アメリカ人少女と中国系アメリカ人の少年の初恋が主題なのだが、ストーリーは42年と86年を交互に展開させ、収容所送りになった日系人ケイコを中国系のヘンリーが、いつまでも待つと約束したまま40数年が経ってしまった。
その原因と再会を追求していくヒューマンドラマだが生々しい戦争の場面などは出てこない。
しかし、戦争はいつか終わる、だから待つ、だけでは些か心もとない。
不安の中での収容所生活とはどのようなものなのか体験しようもないが、こんな経験は御免被りたい。
愛する人との別れも断腸の思いだ。
ところで、小説の中で重要なポイントになっているのが当時でも入手困難と言われたオスカー・ホールデンというジャズ・アーティストのレコードだが、この人物、実在の人物なのかどうか判然としない。
作中、実在した多くのジャズ・ミュージシャンなどを登場させているので何とも言えないところがまどろこしい。
因みに今現在でもパナマホテルには引き取り手のない37家族の荷物がまだあるとか。
それはともかく、静かなエンディングにはとても好印象を受けた。
全米では110万部のベストセラー小説だとか。
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