愛に恋

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百年の孤独 ガブリエル・ガルシア=マルケス

サリンジャーの作品に『フラニーとズーイ』という小説がある。グラース家の末っ子である女子大生のフラニーと、そのすぐ上の兄で俳優のゾーイーをめぐる、1955年11月のある土曜日の午前中から、翌週の月曜日にかけての物語だが、二人して台所だったか、とにかく難解な話を繰り返し話まくるストーリーだったが、けっきょく私には理解できなかった。それに続く難題が本作なのだ。世界の名だたる作家たちが賛辞を惜しまず、その影響下にあることを公言している世界文学屈指の名著らしいが、100年に亘るホセ・アルカディオ一族の話で、代々似たような名前を受け継いでいるので、とてもややこしい。この長い物語を理解出来た人はどのぐらいいるのだろうか。一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻のむさぼるところとなることからして、私には難解すぎた、と同時に読解力のなさに脱力感を覚えた。読めば読むほど迷路に嵌り込み、作者はわざと難解力をアップしながら書いているのかと思ったら、さに非ず、解かる人には分るんだね。ともあれ個人的には映画、音楽、小説にはリアリズムを求めるタイプで、シュルレアリスムキュビスムみたいな、ひねりのある作品が苦手なことはよく分かった。