誰だったか忘れたが以前、ある女性作家がテレビでこんなことを言っていた。
更に、
「書くことだけで食べている作家は30人ぐらいではないか」という話を聞いたのですが、かなりリアルな数字だと思います。
と、柳美里も言っている。
では、他の作家はどうしているのだろうか?
餓死したのか、そんなことはないが明日をも知れぬその日暮らしか。
まあいい、私自身は賞レースに興味がなく大賞を目当てに本を漁っているわけでもないが、たまに流行り本を古書店で見つけた時は買ってみる。
本書もその一環で単行本の時からかなり大々的に宣伝されていたのを知っていたので、文庫化されたのを期に読んでみた。
高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく青年の姿を、温かく静謐な筆致で綴った感動作。
と、広く知られいるストーリーで確かに感動作なのだろうが、やっぱりこの手の作品には年齢制限があるのか中高年には何やら物足りない。
感動された方に水を差す様で大変申し訳ないと先に謝っておく。
主人公の青年にしろ、これから社会に出て頑張ろうとしている若い方、確かに頑張ってほしいが、あまり若いとは言えない年齢になってくると読書をしていても何か違うものを求めているような自分を感じる。
まあ、それは関係ない話で、ピアノ調律師になるには専門学校があるそうだが、一度、テレビでそんな場面を見たことがある。
本書によると、
ピアノの基準音となる音は、学校のピアノなら440ヘルツと決められている。赤ん坊の産声は世界共通で440ヘルツなのだそうな。
うん、知らなかったな。
また、主人公が先輩に自分には調律師としての才能がないのかも知れないと訊く場面で先輩は、
才能っていうのはさ、もの凄く好きだっていう気持ちなんじゃないかな。どんなことがあってもそこから離れられない執念とか、そういうものに似てるなにか。
ということは、私には好きなことはあっても、物凄く好きではなかったということか、何をやっても物にならなかったのがその証拠といえる。
この少年のように若くしてやりたいことに出会えた人は羨ましい。
では、調律師として目指すところはどこかという問いには?
明るく静かに澄んで懐かしい文体、少し甘えているようでありながら、厳しく深いものを堪えている文体、夢のように美しいが現実のように確かな文体
原民喜の文章の一説を例えに上げているが、と言われても私には解らない。
ともあれ本作は累計100万部越えの話題作で映画化もされている。
映画を見ることはないが、これで話題作の話題には付いていけるか(汗
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