愛に恋

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グレート・ギャツビー スコット・フェッツジェラルド 村上春樹訳

 
正直なところ私は外国文学と四つに組むときは内心おっかなびっくりで、名作と誉れ高い本をもし理解出来なかったらどうしようと戦々恐々としている。
林扶美子は「翻訳とはチャーハンみたいなものかな」と言っているが、なるほど上手いことを言う。
例えばカラマーゾフの兄弟を訳者を代えて読むということがないだけに誰の訳と相性が合うのか適しているかなどは全く考えたこともない。
村上春樹ぐらいになると素晴らしい相手なのかというと、どうもしっくりこなかった。
彼はこんなことを言っている。
 
「賞味期限のない文学作品は数多くあるが、賞味期限のない翻訳というのはまず存在しない。翻訳というのは、詰まるところ言語技術の問題であり、技術は細部から古びていくものだからだ。不朽の名作というのもはあっても、不朽の名訳というようなものは原理的に存在しない」
 
だから昔の訳が悪いというのではなく、
 
「翻訳のバージョンアップが必要だ」と言っている。
 
なるほど、そういうものか!
村上氏の言う『グレート・ギャツビー』とはこうなる。
 
「情景がきわめて繊細に鮮やかに描写され、すべての情念や感情がきわめて精緻に、そして多義的に言語化された文学作品であり英語で一行一行丁寧に読んでいかないことにはその素晴らしさが十全に理解できない」
 
彼はこの小説を世界三大文学の一つと考えているようで、そのためにも原文で読めたらいいのだがと言っているが当然私には読めないどころか、彼のような翻訳者を持ってしても、その素晴らしさが十全には伝わってこなかった。
それは偏に私の理解力のなさの問題。
申しわけなかった。
 
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