愛に恋

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ルビンの壺が割れた 宿野 かほる

映画にしろ小説にしろ、最近よく見かけるのが「衝撃のラスト」こんな文字に踊らされて読んでみたら、なんのことはない、そんなことかとガッカリさせられることはないだろうか。本書は専門家が読んでも「何とも分類しようない小説」「万華鏡のような作品だ」と頭を傾げる。確かに何ともいえないラストが待ち受けている。本書を読む場合は必ず前から読み進めてほしい、決してラストのページを捲らないように。これほどの驚きは滅多にないかもしれない。因みに「ルビンの壺」というのは、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した図形で、見方によっては「壺」に見えたり「向き合った二人の顔」に見えたりするという不思議な絵で、人間の認知能力の特徴を衝いた有名な多義図形らしい。