愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 ホトトギス編集長高浜虚子

漱石は「白扇会」という句会に所属していたことがある。まだ作家デビュー前のことだが。最近は練習してないので何も書けないと言い訳し、こんな手紙を句会に出している。「過日は蕪稿御求めに相成候処、近頃俳神に見放され候せいか、一向作句無之、不得巳其儘に致し置候、不悪御容赦可被下候」この時期、漱石は留学から戻り教師をしていたが、心に余裕がなく作句を愉しむ状態ではなかった。そこで「近頃俳神に見放され」と洒落た言い訳をしたようだ。確かに詩作は詩神の降臨を待つしかない。そして漱石はこの手紙の二年ほどたった明治三十八年『吾輩は猫である』を俳誌「ホトトギス」にに書いて大成功をおさめた。同誌の編集長高浜虚子の原稿の催促に応え、虚子の推敲によって世に出た。虚子がいなければ後年の文豪漱石は存在しなかったかも知れない。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。今日のトップニュースは「大谷選手、MVP満点投票」でしたね。来シーズンはどこへ移籍するのか気になります。おやすみなさい、また明日。