愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 名文との出会い

子の無い伯母は旬日あまりを静かに過す。そこで人の入浴(はい)って居ない食事どき、午睡の時間、伯母は長い廊下を、気遠くなっている足どりで、混浴の湯室へ下りて行き、人の気のない湯室の中で、五十にまだ間のある美しい肌の伯母は、堰きとめている女だけの想いを展げてみるらしかった。まるで秋津(温泉)の不思議と澄んだ気配が、独り身のさがない嘆きや女の生身の憤りをも、清浄な一つの祈りにするように、湯音も立てず伯母はひっそりと、永い間ひとり湯にひたっているのだった。文学に浸るとは、名文との出会いに巡り合うことですね。私は常にそれを求めています。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。ただでさえ短い秋をかなぐり捨てるように、突然冬がやって来たような今日この頃。我が家では炬燵到来、昨夜からやっと上布団も出しました。寒いのは嫌いです、皆さまもどうぞ健康管理怠りなくお過ごしください。それではまた明日、おやすみなさい。