愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 寒山拾得

寒山拾得(かんざん じっとく)と読むが、中国江蘇省蘇州市楓橋鎮にある臨済宗の寺・寒山寺に伝わる風狂の僧、寒山と拾得の伝承で、これを題材にした森鴎外の短編小説に寒山拾得』がある。台州の知事職に相当する主簿を務めることとなった閭丘 胤(りょきゅう いん)は、求道者でもなければ、反対に無頓着な人でもなく、道を求めている他者に「盲目の尊敬」をもって接する人間であった。赴任の当日、リュウマチ性の頭痛に悩まされていた彼の元に一人の乞食坊主が訪れる。閭丘の頭痛をまじないによって見事に治癒したこの男は台州天台山国清寺豊干(ぶかん)と名乗り、これから同地へ赴く閭丘が会いに行くべき偉い人はいないかと尋ねると、それぞれ文殊菩薩普賢菩薩化身だという寒山拾得の名を挙げて去っていった。この出来事のために、閭丘は台州につくと間も無く二人が暮らしている国清寺を目指したのであった。丸二日かけてやってきた閭丘は道翹(どうぎょう)と言う僧に案内されるかたわら、豊干や拾得についての話を聞く。実際に二人と対面するため台所へ通されると、みすぼらしい身なりをした二人の小男が火に当たっていた。閭丘は聖人に接する意識で自らの官職を述べる拝礼をしたが、寒山と拾得は大声で笑ったかと思うとその場から逃げ去ってしまったという話だが、分かったような解らないような。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。今日も長々ありがとうございました。また明日、おやすみなさい。