先日、山本文緒さんの訃報を聞き、確かうちの積読本の中に1冊あったはずだと思い、取り出してよんでみた。
表題のプラナリアとは再生能力が著しく、頭に切れ込みを入れて3等分にすれば、3つの頭を持つプラナリアに再生するという、小さなミミズみたいな生物のことらしいが、主人公の女性が、今度生まれ変わるとしたら何がいい、と言う話から出た言葉で、当初、この本は長編ものだと思って買ったら、5編に分かれた短編集だった。
然し、直木賞受賞ということなので購入したものだった。
始めの4編は女性が主人公で最後は男性となるが、何れも自己を見失いつつある主人公に恋人らしき相手がいる、または出来た。
どうも決断力のない毎日を流されるように生活しながら、相方と結婚するかどうか悩みつつ、終盤を迎える。
起承転結の「結」がさっぱりせず終わってしまう。
「えっ、これで終わり」と強制退去のようなエンディングに戸惑う。
然し、観察力が良く男女の機微に長けた書き手だからこそ直木賞なのか。
ただ、どうにかしてこれを長編作にしても良かったんじゃないかと私は思うのだが。
58歳で死去と聞いたので、おそらく癌ではないかと思ったが案の定。
謹んでご冥福をお祈りたい。