ギターの上手い人に限って、よくフィージョン系の音楽を演りたがる人がいるが、私はクロスオーバーなどと言われていた昔から、あまりこの手もサウンドが好きではない。もともと、ブリティッシュ系の音楽で育った経緯もあるので相性が合わないのだ。
例えばリー・リトナーやラリー・カールトンはその代表例といえる。
古いところではウェス・モンゴメリー、またはジョージ・ベンソンなども好きとはいえない。
ロック少年だった私はリッチ・ブラックモアやジミー・ペイジの全盛期と共に歩んで来たので、彼らのレコードを聴かない日とてなかったが、二人が一線を退き、私も中年に差し掛かる頃からかブルース・ロックを聴くようになった。
そこで出会ったゲイリー・ムーア、どのジャンルのギタリストであれ、何れも劣らぬ天才揃いであることは分っているが、年を増すに従って、ブルース色がないとどうも物足りない。
そこに来て彼の泣きのギター・サウンドが何とも私を泣かしむる。
ラテン系のサンタナより数段いい!
ところで日本では泣きのギタリスト、ブルース・ギタリストといってもピンと来ない。
昔、78年に発売された中島みゆきのアルバムに『愛していると云ってくれ』というのがあったが、最高傑作ともいわれている。
私も当時、これを買った口だが、確かにいい!
参加ミュージシャンがまた素晴らしかった。
中島みゆき- Vocals
つのだひろ- Drums
後藤次利 - E.Bass
坂本龍一- Pf
増田敏郎- E.Guitar
斎藤ノブ- Lat
と最高の布陣だろう。
特に増田敏郎-のE.Guitarで聴く『化粧』が良かった。
しかし、飽きずに今なお聴いているギタリストがいる。
現在では日本でさえ名前を聞いても誰それ、と言われてしまうぐらいで、ましてや世界的には知名度ゼロ。
ハッキリ言って、この程度のギターなら誰でも弾ける、ただ、公式録音として残さなかっただけの話。
だがこの曲、知る人ぞ識る名曲で、このまま埋もさすには勿体ない。
当時、彼らは自分たちの音楽をブルース・演歌と名乗っていた。
聴いてもらいましょう、1976年3月5日にダウン・タウン・ ブギウギ・バンドがリリースした、通算6枚目のシングル【裏切りの旅】
「裏切り者の旅」ダウン・タウン・ブギウギ・バンド 6thシングル from album "あゝブルース Vol.2" 1976年