昭和51年、『落日燃ゆ』という終戦ドラマを見た。
広田役を演じたのは名優滝沢修で素晴らしい作品だった。
それが城山作品に触れた初めての出会いで、以来、この人が書く硬派な人物伝が好きで何作か読んでみた。
その城山さんが夫人を癌で亡し、酷い損失感に見舞われる。
城山夫妻は相思相愛で、私の叔母が連れ合いを亡くした時、泣いてばかりいたと従姉妹から聞いたが、最良の伴侶を失ったらどうなってしまうのか、それは考えただけでも恐ろしい、残されし者の辛さは計り知れない。
何をするにしても、想い出は消え去り難く憔悴は募るばかり、精神のバランスを保ち得るのか心配になる。
作家の江藤 淳も妻を癌で亡くした翌年、自ら命を絶った。
そこまで愛し愛されることは夫婦として最良の関係だが、やはり何かしら怖い。
城山さんも晩年にこのような作品を書くとは夢、思わなかったのではあるまいか。
因みに解説は児玉清さんだが、その児玉さんも旅立った。
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