愛に恋

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「ムーンライト・セレナーデ」 詐欺師 樋口一葉

貧者余裕なくして閑雅の天地に自然の趣きをさぐるによしなく御心はあまたたび拝しながら御供の列に加はり難き、御厚意のほどを月とも花とも味はひ可申御詞にあまへ不日御ひざもとにまかり出づべく候まま御見すてなく願上まゐらせ候、先は御返事のみ。これは当時、3万人の会員を集めていた占い師、久佐賀義孝という人をアポなしで急襲し自分の不幸を訴えたあと、美人の樋口一葉を観梅のデートに誘った時の一葉の返事です。清楚で純真無垢な一葉からは想像できない、名うての詐欺師だった一面を覗かせているんです。貧乏暇なしと訴えて、今の貨幣価値で数千万を求めたこともあったとか。それを受け取ったという証拠はないが、生活費程度の額が何回か渡された形跡は残っているらしい。「ムーンライト・セレナーデ」のお時間です。梅雨明けも近いとか。それではまた明日、おやすみなさい。