愛に恋

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僕の父はこうして死んだ 山口正介

 
私の書庫に並ぶ本は相対的に言えば、死にまつわる蔵書とも言えるかも知れない。
多種多様な職業、洋の東西を問わず様々な死を読んできた。
 
武将、志士、革命家、思想家、芸術家、政治家、軍人、画家、詩人、歌人、小説家、俳優、医師、冒険家、音楽家など。
死因もバラエティ、本人達は自分の行く末にこのような最期が待ち受けているとは思わずに生きてきたはずなのだが。
戦死、自殺、自害、殉死、他殺、刑死、心中、餓死、殺戮、病死と非業な死を遂げている。
 
何故、私が著名人の死を読みたがるか、私なりには理解しているが、まあ、その理由はここでは書くまい。
今回の本、僕の父とは直木賞作家の山口瞳さんのことで、何でも今年で歿後20年になるとか。
嵐山光三郎は著書の中で「作家の死は事件である」と言っているが私も異論はない。
 
すでに多くの本が絶版になっているが亡くなった著名人の家族が生前の父の思い出を書き残した本は沢山ある。
山口瞳さんのひとり息子、映画評論家の山口昭介が著者だが山口家はみな早死にの家系でで70の声を聞いた親族はいないという。
 
ともあれ、本文はレベル4と診察された以後のことが主題で、生前の経歴などは殆ど書かれていない。
また、はっきり断言されてはいないが奥さんは明らかにパニック障害だと思われる。
話しは平成7年8月までのことで、驚いたことに山口さんは連載の「男性自身」シリーズを死の直前まで書き続けられ、延べ1614回、一度も休まなかった。
だが、その間にも病状は進み、
 
「愛想のいい医者を信じてセカンドオピニオンを求めなかった」
腫瘍マーカー200超の意味を理解していなかった」
 
など、既に病院へ行ったときは末期状態。
家族にとっての辛い日々が続く。
日々、痩せ衰えていく姿を見ながら涙する母子。
昭介さんは子供の頃から親によく映画を見せられたと言っているが、その点だけはウチの父と似ている。
家族を看取る現実、避けて通ることの出来ない宿命、本当に辛いことですね。
 
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