愛に恋

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内田百閒の「東海道刈谷驛」

とある古本屋に行って来た。目指すものはなかった。その代わりと言っちゃ何だが、長年探し求めていた、内田百閒の「東海道刈谷驛」を見つけた。然しこれ高いよ。今は無き旺文社でしか読めない本だが、私の知っている古書店では百閒の全文庫揃いで、あれは15巻だったか25巻だったか忘れたが5500円だったのに、「東海道刈谷驛」だけで1600円。然し、今買わないと滅多にお目に掛からないからやむを得ない。大検校宮城道雄の友人であった百閒が、刈谷で列車から落ちて死んだことにショックを受けて、地元を訪ねた時に書いたものだろう。日本滞在日記」は19世紀初頭、何度となくやって来たロシア艦隊の全権大使が開国を求めた時の日記らしい。日記好きの私としては知らない人物だが、まあ読んでみるか。

今日一番の驚きは、この本だろう。武藤章の『比島から巣鴨へ』、こんなものがあったのか。確か支那事70周年を記念して『武藤章回顧録』が出たおりに買って読んでみた。巣鴨に拘留されていた時に書いたものだろう。そうそう、武藤章とは戦時中軍務局長まで務めた人物で、終戦時にはフィリピンの山下大将の副官ではなかったか。戦後、A級戦犯として絞首刑になった人だが、いくら絶版でも3300円は高すぎる。欲しかったけれで買わなかった。残念だな。