「何だって」
「どれどれ」
「うるさい、静かにしろよ」
「何が分からないのだよ」
「これだよこれ」
「恋は思案の他ってなんだ」
「分からんな」
「思案の他、なんだろう」
「読めただっけ凄いじゃん」
「シアン化合物のことじゃないのか」
「ますます分からん」
「恋は思案の他ね」
「だいたいお前、恋なんかしたことあるのかよ」
「あるよ、あたりまえじゃん」
「ええ、誰にだ」
「2年A組のサリーだよ」
「あの魔法使サリーか」
「違うよ、占い師のサリーだよ」
「お前こそどうなんだ」
「バカだねお前は。知らないのかよジュリアのこと」
「誰だそれ」
「タバコやのジュリアだよ」
「ジュリアがどうした」
「付き合って2年だよ」
「へえ、お前そんなにモテるの」
「お前よりかわね」
「そんな話はいいから、思案の他が分からない。誰か知らないのか」
「・・・」
「しかたねえな、校長に訊いてみるか」
「教頭の方がいいぞ」
「そうだな、教頭なら知ってるだろうからな」
「教頭!恋っていう顔かよ、あれは三日前のハンバーグだろう」
「ワッハハハ」