愛に恋

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ダメオのアニマル・ラブ Part.12 

「えっ、何なに」「ちょっと、押さないでよ」「暑苦しいってば」「何やってんの」「知らないの」「これ何!」「バカだねアンタは」「えっ、だって知らないんだも」「トムとジェリーじゃないさ」「トムとジェリーってなに?」「こいつ、トムとジェリー知らないんだって」「遅れてる~ぅ」「面白いのこれ」「面白いから見てるんでしょ」「これ猫じゃないの」「だから言ったでしょ、トムとジェリーだって」「トムというのは何?」「煩い、トムが猫でジェリーがネズミなの」「もう静かにしてよ、聞こえないじゃないのさ」「ったくお前は引っ込んでろ」

こら、ばか。お前何吸ってるんだ。犬の乳だぞ。やめなさい、やめなさいってば。

「おかあちゃん、今日は外で遊んじゃダメなの」「ダメダメ。こんな暑い日に外で遊んだらスルメみたいになっちゃうからね」「スルメってなに」「分からないならいいから、とにかく今日は家の中で遊びなさい」「つまんないな」「いいから、おとなしくしていなさい」「お父ちゃんは」「また、隣のサリーちゃのところじゃないの」「サリーちゃん、サリーちゃんって、いつもサリーちゃんの傍にいるんだね、お父ちゃん」「あんな男は要らないよ。今度、新しいパパを見つけてくるから、お尻にハートのマークが付いているパパを見つけないとね」「うん」

「朝食はまだ。朝っぱらからキャットフードはやめてよ。もう食べ飽きたんだから」「何言ってるの、私が買って来るキャットフードは栄養満点の高級品なんだからね、贅沢言うんじゃないの」「いくら高級品でも、そう毎日毎日出されたら嫌になるのは当たり前じゃないのさ」「あら、お隣のミーちゃんなんか煮干しばかり食べてるのよ、生意気ね」「見てよこれ、わざわざフォークとナイフ揃えてあるじゃないのさ」「それはパパのハムエッグの為に用意してあるの。さあ、下に降りて。あっ、いいのがある。たまにはポチのドックフードを食べてみたら」

「重たいって」「眠たいんだよ」「こっちだって眠りたいんだよ」「君の背中が一番寝心地がいいんだよ」「とにかくさ、下りてくれないと眠れないよ」「頼むよ、昨日、あまり寝てないからさ」「馬はいつも立ってばかりだから疲れるんだよ」「僕だって走り回って疲れてるからさ」「そんなの知らないよ」「今日だけ、今日だけ頼むからさ」「もう、今日だけだよ」「助かった、ありがとう」

「煩い。ワンワン吠えちゃだめ。静かに寝なさい。おやつは3時になってから。それまでは大人しくしていなさいよ」「ウウウ」「何がウ―よ。騒ぐとおやつなしだからね。分かった。寝れないなら横になっていればいいのよ。とにかくね、私は忙しいから静かにしててね。また見に来るから、ちゃんと布団の上に居なかったら追い出すわよ。分かった」「ワン!」

どうした、その湿気た顔は。熱中症か。食欲不振か。睡眠不足か。冴えない顔だな。しっかりせえー。分かった、下痢か!

「重たいんだよ」「頼むよ、向こう岸まで乗せてくれよ」「自分で泳げばいいじゃないか、ネコかきで」「あれは犬かきでしょ」「ネコは水が苦手なんだよ」「苦手なの!」「犬みたいに楽しく水遊びが出来ればいいんだけどね」「情けないな、これから鳥に優しくしろよ。特に鳩なんか取るなよ」「分かった、必ず守るよ」

「べたべたしないでよ、暑いんだから」「いいじゃないかよ、仲のいいところを見せつけてやろうじゃないか」「誰によ」「みんなだよ。全国の犬・猫に見せてやるのさ」「そんな必要はないよ」「あるさ、これからは犬・猫が手を取り合って家庭内で上手くやっていこうという宣言になるからな」「家庭内の犬・猫ならみんな上手くやってるよ」「だから、もっともっと僕たちみたいに、べたべた、でれでれと上手くやっていく全国の見本になるためさ」「見てよ、私の嫌そうな顔を」「なんだよ、もっと嬉しそうな顔をしろよ」「とにかくさ、暑いんだよ」

「ちょっと、私は羊なんだよ、猫じゃないんだから間違わないでよ」「モフモフ」「いい加減にしてよ。ママは何処へ行ったの」「何処に行ったか分からないから」「だから何よ。私には関係ないでしょ」「関係あるよ、ママの姿が見えなくなったら、羊のお母さんに面倒見てもらいなさいと言ってたから」「そんなバカな。私は聞いてないよ」「聞いてなくても私たちはみなしごなんだから面倒見てよ」「ええ、折角子育てが終わってのびのび自由になったと思ったのに」「私たちは小さいから育てやすいよ」「まったく、何処へ行ったんだ」「ここが気持ちいい」