先ほど読んだ「貧乏は幸せにのはじまり」によれば、方丈とは一丈が約3メートルなので現在の4畳半に当たるらしい。
同時に寺の住持の部屋を「方丈」と呼ぶ。
京都賀茂御祖神社の神職の家の生まれながら、若くして父母を失い出世の道を閉ざされた鴨長命は、京都と奈良の県境にある山里・日野に庵を結び、1208年、54歳の頃に『方丈記』を執筆、62歳で死を迎える。
が併し、私としては少し当てが外れた。
好きな『方丈記』について紐解いてくれるのかと思っていたら、鴨長明の半世紀を小説化したもので、事実に基づいたものだけに平安から鎌倉に至る、王朝時代の宮廷の官位、仕来り、歌合せなど難しく分からないことばかり。
当初は神職での栄達を望んだものの、やがて、世の無常、儚さを憂い庵に籠って質素倹約をしながら『方丈記』を書いていったのだろう。
行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。
これほどの名文もなかろう。