愛に恋

    読んだり・見たり・聴いたり!

貧乏は幸せのはじまり 岡崎武志

f:id:pione1:20211203100831j:plain

よく、起きて半畳寝て一畳なんていうが、まさしく我が家のことで、本書は貧乏長屋育ちでありながら、遂に幸せを掴めなかった私をよそに「貧乏は幸せのはじまり」ときたもんだ。

尊敬する古書趣味で雑学の大家、岡崎武志さんの本とあって以前から書棚を暖めていたが、まあ、多くの著名貧乏人の履歴を書いて事欠かない。

中でも驚くのは金子光晴で一年中、万年床で着替えもしないで寝てしまい、一生、顔も洗わず歯も磨かないのに女にモテた。

初婚の三千代は浮気して男の下へ。

53歳の時にファンだという令子と肉体関係に陥り5年後に結婚。

併し不思議な事に三千代と令子の間を往復し、三千代と三回結婚し二回離婚。

令子とは二回結婚し二回離婚。

またドストエフスキーは借金魔で、借金の魅力に憑りつかれ、彼の書簡集は100%借金の申し出だと書いている。

石川啄木などは家族を友人の手に任せたまま、送金もせずに放置するなど、みんな尋常の尺度では推し量れない精神の持ち主で、これら多くの著名人を登場させているが、ひとつ言えることは全員が名を成したということで、私だけが大成しなかった。