話が違うじゃねえか。
アンタ百歳まで生きるんじゃなかったのかい。
半年ばかり足りなねえぜ。
ええ、どうしてくれるんだよ。
これで大正生まれの作家が愛子女史一人になっちまったじゃねかよ。
大正が好きなこの俺にとっちゃ困ることなんだよな。
尤も、あっしにとっちゃ寂聴より晴美だけどな。
何しろつい先日、アンタの本を読んだばかりだからよ、あまりのタイミングに驚くじゃねえか。
併し、少しは供養になったと思ってくれよ。
晴美ちゃん、ありがとな。
『田村俊子』
『女優』
『かの子撩乱』
『美は乱調にあり』
『遠い声』
『余白の春』
『諧調は偽りなり』
『ここ過ぎて 北原白秋と三人の妻』
など、アンタが書いた社会主義や無政府主義のため死んでいった女たちの話は、若い私を刺激したもでしたよ。
あちらにはアンタの好きな谷崎さんも居るからね、愉しくやってや。
ほな、さいなら。