おはようございます。
今朝はグスタフ・クリムトと《ピアノを弾くシューベルト》(1899年)について書きたいと思います。
私がこの世で尤も忌まわしい事件と思うものは、殺人を除けば戦災、放火などによる美術工芸品や文化財などの損失です。
例えば幸田露伴の小説『五重塔』のモデルにもなった天王寺の五重塔は、不倫関係の清算を図るために焼身自殺した結果です。
金閣寺は言うに及ばず、古くは幕末の上野戦争で寛永寺は全て焼け落ちました。
これらのことは世界史の上から見た上でも枚挙に暇がありません。
ここに挙げたクリムトが描いた、幻想的で美しい絵画「ピアノを弾くシューベルト」(1899年)は、大戦末期の1945年に焼失し永遠に見ることができません。
ナチスに没収され、オーストリアのインメンドルフ城に疎開していましたが、親衛隊が撤退する際、城に放火し他の絵画共々焼失しまた。
幸いカラー写真が残され、その美しさを偲ぶことができますが、当時の写真技術から、本来の色彩がどうであったのかは永遠に分かりません。
シューベルト(1797-1828)は、クリムト(1862-1918)が生まれる三十数年前に亡くなっていますから、この絵が製作されたのは、ちょうどシューベルト生誕100年の頃です。一度失われた文化財は二度と蘇りません。
左手の女性はクリムトの愛人だそうですが、イミテーションはイミテーションでしかないということを肝に銘じることです。
扨て、焼失したクリムトの絵は3枚あったそうです。
今一枚はこれかと思います。
其の下部を拡大したのがこれ。
あと一枚は何だ?