愛に恋

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人情紙風船

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山中貞雄監督の作品というものは見たことがない。

現存する山中監督の作品は3作のみ。

『人情紙風船』は昭和12年の映画で日中戦争で戦病死した監督の遺作。

8月25日、封切り当日に山中に赤紙が届き、平安神宮で壮行会が行われ、神戸港から中国に出征。

山中は戦中、手記に「紙風船が遺作とはチト、サビシイ」と書き遺し、昭和13年9月17日に河南省で戦病死。

然し、昭和12年の時代劇ともなると、さすがに江戸時代そのものも環境が出て来て、如何にも本物らしい当時の風俗が素晴らしい。

長屋に住む浪人夫婦の人情物で、どこで折り合いを付けて終わるのかと思っていたが、痛く哀しいエンディングだった。

なぜこの映画を観ようと思ったか、きっかけは、ソングライターの山下達郎のご推薦とあって、ならばということで鑑賞するに相なった。

いい映画でしたよ山下さん。

因みに知っている俳優さんは出征前の加藤大介ただひとり。